イベンターン インターンからはじまる
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インターン

2023.12.07

軽井沢のホテルの客室に飾る、 落ち葉を使ったアート製作のインターンに密着!

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工業製品デザイン、クラフトデザイン、空間デザイン、服飾デザイン・・・と、どんな分野にも必ず必要となるデザインの仕事。あまりにも多岐にわたる業種なので、具体的な業務内容や日々のリアルが見えづらいといった声をよく聴きます。

そこで今回、ホテルや飲食店、各種専門店など規模の大小を問わず、様々なカテゴリーの空間デザインを行うデザイン会社「株式会社DRiP(ドリップ)」が企画したインターンに密着取材しました。仕事現場の取材を通して、デザインの仕事のリアルについて少し紐解いてみたいと思います。

今回のインターン内容

DRiPがデザインを手掛ける軽井沢のホテルの客室に飾るアートを、学生と一緒に製作するインターン企画。アーティストの作品を購入してそのまま客室に飾るのではなく、学生参加型でデザインコンセプトをつくり、それに合うアートピースを自らの手仕事で作ろうという内容です。今回は2日間にわたって行いました。

募集者

株式会社DRiP 代表取締役 藤井崇司さん

  • 京都市立芸術大学、同大学院卒

  • 2002年 日建スペースデザイン 入社

  • 2015年 DRiP 設立

  • 2017年 株式会社DRiP 設立

応募者

近畿大学建築学部デザインコース3回生 山本彩さん

サポーター

イベンターン ファウンダー 笹岡、スタッフ 中川

イベントレポート

今回のインターンの舞台となるのは、奈良県生駒市の田園風景の中に佇むDRiPの事務所です。元幼稚園を改装したという事務所の佇まいは、どこか温かさと懐かしさを感じます。

中へ入ってみると、デザインを生業とする会社ならではの空間設計でとても居心地がよく、ずっとここにいたくなるような穏やかな時間が流れていました。

そんな特別な環境でデザイン業を営むDRiPのカルチャーは「自然にまみれながら得た感覚をデザインに落とし込んでいこう」、というもの。そのカルチャー通り、敷地内にある小さな畑で育てた野菜を使ってスタッフでランチを作ったり、時には自然の中でサウナをしてみたりと、仕事だけでない“日々の楽しみ”を大切にする会社です。

今回インターン生として参加したのは、近畿大学建築学部デザインコース3回生の山本彩さん。

1日目、DRiPの事務所に訪れるやいなや挨拶も早々に、DRiP代表の藤井さんから山本さんへ、客室の平面図を広げながらアートプロジェクトの主旨や方向性の説明が始まりました。山本さんにとっては、自分が手掛けた作品が実際にお客様の目に触れるという体験は今回が初めて。プロジェクトの全体像が見えてくるやいなや、「客室のこの場所に飾った方がいいのでは?」など、山本さんのアウトプットがどんどん積極的になり、その場の空気が一気に真剣な仕事モードに切り替わっていきます。

さて、客室に飾るアートピースに今回、落ち葉が選ばれました。なぜ、落ち葉なのでしょうか?

その答えは「そこに落ち葉があったから」!

インターンの時期にちょうど事務所の庭一面が落ち葉に覆われていて、その様子を見てインスピレーションが湧いたそう。素直にその様子をデザインの要素として使ってみることにした、というのです。

このデザインの在り方は、コンセプトをカッチリ決めずに偶然生まれるものやインスピレーションを受けて表現してみたいものなど、“やってみよう”の探求心を大切にするDRiPさんならではのもの。それを目の前で体験した山本さんは、すっかり魅了されている様子でした。

落ち葉を使ったアート製作ですが、具体的にどのように進めるのか少しご紹介したいと思います。

まずみんなで事務所の庭に落ちている葉っぱを拾って、洗って、乾かします。

それを細目に刻んで細かくしたら、落ち葉にボンドを混ぜ込んでいき、全体構造を考えながらキャンバスに丁寧に張り付けていきます。

「この辺りが自然になるように」

「もうちょっとこっちに寄せて分暑くならないよう」

など、全体を監修する藤井さんによる指示と調整が入りながら、同じ工程を何度も繰り返し、アート作品へと仕上げていきます。しかし、想像以上に落ち葉の量が必要になるので、全員もくもくと作業に向き合い製作していく様子はまるで、“職人のものづくりの現場”でした。

ある程度製作が進んだ段階で、待ちに待ったランチタイムをとることにしました。

事務所の庭の畑で育てられた野菜を収穫して、併設されたキッチンでスタッフさんが手際よく調理してくれました。出来上がった野菜中心のランチメニューは、どれも身体に優しいものばかり。

食事がテーブルに並ぶと、自然と会話が弾んでいきます。

山本さんが特に気になっている「デザインの仕事をするにあたって大切にしていることは何か?」との質問が飛び出し、藤井さんが丁寧に回答してくれました。

「“アーティスト”は言葉で語らずとも、作品で語れます。でも、“デザイナー”はクライアントのための仕事がほとんどなので、クライアントに納得してもらえるよう“言語化して伝える力”を身に着けることが何より重要だと思います。デザインに答えなんてないから、仕事においては納得感が何より大事なんです。」

「それと、クライアントの事業を自分ごとに捉えて、成功に導くことに集中することも大切です。お金を払ってくれるクライアントはボスだからクライアントの指示は全て正解、そう思って全てを鵜呑みにしてしまってはダメ。その事業の開発チームの一員というイメージを持って、お客さんのリアルを想像しながら空間設計やデザインを進めるようにしています。あと、クライアントが設定したぺルソナは本当に合っているのか、ターゲティングは正しいかなど、ハード面だけでなくソフト面にも意見やアドバイスをさせていただくこともあります。全てはその事業が成功することが大事ですから。」

そのデザインがなぜいいのか?を常に突き詰めて、自分なりに答えを導き出すことを欠かさないという藤井さんの言葉には重みがあり、大学の授業だけでは決して知ることができないデザインファームのリアルが垣間見えた時間でした。

「それと、クライアントの事業を自分ごとに捉えて、成功に導くことに集中することも大切です。お金を払ってくれるクライアントはボスだからクライアントの指示は全て正解、そう思って全てを鵜呑みにしてしまってはダメ。その事業の開発チームの一員というイメージを持って、お客さんのリアルを想像しながら空間設計やデザインを進めるようにしています。あと、クライアントが設定したぺルソナは本当に合っているのか、ターゲティングは正しいかなど、ハード面だけでなくソフト面にも意見やアドバイスをさせていただくこともあります。全てはその事業が成功することが大事ですから。」

そのデザインがなぜいいのか?を常に突き詰めて、自分なりに答えを導き出すことを欠かさないという藤井さんの言葉には重みがあり、大学の授業だけでは決して知ることができないデザインファームのリアルが垣間見えた時間でした。

貴重な話が飛び交う楽しいランチの時間は一旦終わり、アート製作が再開。

製作が落ち着いたタイミングで1日目が終わり、2日目も同じ工程を繰り返していきます。

作業も終盤を迎え、遂に自然の落ち葉を使ったアートが完成しました。

完成したアートは最終的に、写真のように客室に飾られ、お客様の宿泊体験の一部として溶け込んでいるとのこと。

インターンに参加した感想

自分の手仕事がお客様の元へ羽ばたいていく、そんなインターンを2日間体験した山本さんは、

「本当に楽しい2日間でした!今回応募した一番の理由は、自分が作ったものがお客様が過ごす空間に飾られる仕事をやってみたかったから。実際やってみると想像以上に嬉しい気持ちになりました。元々美術教室で油絵を習っていましたが、アーティストで食べていくのは厳しいという現実が見えてきて、今はデザインを活かした空間デザインやインテリア関係へ進む道を模索しています。ですが規模の小さなデザイン会社に出会うのはなかなか難しくて・・・、インターンを見つけるのも一苦労です。そんな中、今回のインターンはまさに気になっていた空間デザインの仕事現場にお邪魔できると知って、とてもワクワクしていたんです。実際に事務所でお邪魔できたのもそうですし、社長の考え方を直接聞けたのは本当に貴重な体験でした。参加してよかったです!」

と、笑顔いっぱいで答えてくれました。

デザイン業を行う会社によってカルチャーや大切にする価値観は様々ですが、実際にそれらに触れることで業界構造が見えてきたり、未来のキャリアや目指したい方向を見つける大切な材料になるのではないかと思います。

イベンターンでは、引き続きクリエイティブに関わる会社のインターンをたくさん募集していきます。気になる企画があれば、ぜひ積極的に応募してみてくださいね。